売買契約書の基礎知識・ワンポイント

         

第○条(瑕疵担保責任)

本物件に隠れた瑕疵がある場合、買主は売主に対して損害賠償を請求することができます。
この場合、本契約を締結した目的を達成することができないときには、買主は損害賠償を請求するとともに本契約を解除することができます。
*マンションの場合には 「本物件の専有部分に隠れた瑕疵が〜」 となります。

2.買主は売主に対して前項の損害賠償に代え、またはそれとともに本物件の補修を請求する事ができ
  ます。
3.前2項の請求または契約の解除は、本物件の引渡し後2年を経過したときは、することができない
  とします。
4.本状によって本契約が解除された場合、売主は買主から受領した金員を無利息にて延滞なく買主へ
  返還しなければなりません。
 


不動産取引における『瑕疵』とは言い換えれば『欠陥』のことですが、建物の雨漏りや土地の不等 沈下など物理的な瑕疵だけでなく、公法上の制限などに由来する法律的な瑕疵、自殺物件や暴力団 事務所などが近接することによる心理的瑕疵、さらには周辺環境による瑕疵なども含まれます。

ただし、この条項が適用されるためには『隠れた瑕疵』であることが必要であり、買主が通常に要 求される注意力をもってしても発見することができなかった瑕疵が対象となります。したがって、 外部から容易に見ることができるような瑕疵(欠陥)、契約時に売主から告げられたり重要事項説 明書であらかじめ説明されたような瑕疵(欠陥)は対象となりません。

また、売主の故意・過失に関係なく 『隠れた瑕疵』 があれば売主はその責任を負わなければなりせん
が、物件の引渡し後に生じた瑕疵 (後発的瑕疵) については、売主の責任は生じません。

なお、瑕疵担保責任を負う期間について、売主が個人の場合には、引渡し後数か月あるいは1年に限定するケースも多くなっているほか、瑕疵担保責任を負わないとする特約も有効であり、建物が 相当古い場合や売主の債務整理による売却の場合などには、この特約となることも多いのが現実です。

売主が不動産業者で、買主が不動産業者ではない場合の瑕疵担保責任期間は、最低限2年とすることが必要で、これ以下の期間を定めた特約は無効となり、民法の規定(引渡し後の期間の制限はなく、買主が瑕疵を発見した時から1年間)が適用されることになります。
※引渡し後10年で消滅時効にかかる、との最高裁判例もあります。
※新築住宅(売主が不動産業者)の売買では、建物の構造耐力上の主要な部分についての瑕疵担保期間が10年となっています。

公租公課(税金)の負担に関する説明


第○条(公租公課の分担等)
本物件から生ずる収益または本物件に対して賦課される公租公課および管理費・修繕積立金等ならびにガス・水道・電気料金、各種負担金等の諸負担については、第○条の引渡し日をもって区分し その前日までの分を売主、引渡し日以降の分を買主の収益または負担として引渡し日において清算します。
なお、公租公課の起算日は1月1日とします。

1月1日を起算日とする暦年方式と、4月1日を起算日とする年度方式とがありますが、関西やその他の地方圏では年度方式が主流の地域もあるようです。

なお、不動産取引において固定資産税・都市計画税の売主と買主との間における清算は当然のように行われていますが、これには法的な根拠がありません。行政側ではこの清算金について譲渡対価(売却価格)の一部をなすものであるとの考えから、課税業者が受取る固定資産税・都市計画税清 算金のうち、建物に関する部分については消費税の課税対象となる、との見解が示されています。

固定資産税等の清算金に消費税を付加して受領する不動産業者も、徐々に増えつつあるようです。
(財務省の見解に従っているだけで、業者が悪いわけではありませんね。)

 

 

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